「一人産地」の挑戦 Ⅰ 牧山 花

牧山花さんに初めて会ったのは今から5年程前です。2002年に青山のスパイラルガーデン、2005年にトウキョウワンダーサイトでのインスタレーションをやり終えた彼女は着物を織る染織家を目指すもアーティストの印象を強く与える人でした。
その後、本物の染織家となった彼女が着尺を携え再び店を訪れたのは一昨年の秋でした。
　10代の頃から芸術的な自己表現を模索していた牧山さんにとって織はいくつか出会った表現方法の一つにすぎなかったそうです。川島テキスタイルスクールで織を習うのも、糸の原点を学びに宮古島に移るのも表現に必要な技術を習得するためであり目的はまだ漠然としたものだったようです。
とはいうもののやり始めたらとことんやってみる性格らしく宮古上布の後継者志望でもないのに十字絣を2年も織り続け、見るもの全てが十字絣で出来ている様に見えるまで没頭したそうです。
その反動か次は抽象的なテキスタイルに移行し、やがてはスパイラルホールでのインスタレーションにつながっていきます。
　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　工房にて